TEKITOU life,engineer, and father

「回り道人生」 破天荒”文系”エンジニア

回り道人生

現場におけるADAPTモデル

DevLOVE Advent Calendar 2013の38日目のエントリです。
よく考えたら去年のDevLOVE Advent Calendar 2012も38日目でした。完全な偶然ですw

【38日目】ぼくのかんがえたぷろふぇっしょなる
  http://devloveblog.wordpress.com/2012/12/22/adcal_day38

・自己紹介

名前は、原田巌(@iwaoRd)です。
システム開発経験は15年くらいで、最初の『現場』から客先常駐で泥臭く生きてきました。何気に転職が多く、中堅SIerから始まり、フリーランスとして独立期間4年挟んで小さいSIer→大きなSIerとキャリア積んできています。
最近はモデラーとして客先常駐しており、今回のテーマである『現場』で気を付けている『ADAPTモデル』について話したいと思います。

私をもっと知りたい人は、生き様が書かれたUltimate Agilist TokyoのOpen Jam発表資料を見てください。

発表資料:【OpenJam】どんな勉強会でも話題になる目的重視。そのコアに迫る
 http://www.slideshare.net/mobile/iwaoRd/whywhywhy

・ADAPTモデルとは?

最初にADAPTモデルの説明からしないといけません。
このADAPTモデルはMike Cohnさんの書いた『Succeeding with Agile』に書かれているScrumの適応に向けたアクティビティの流れを表したモデルです。 

Succeeding with Agile: Software Development Using Scrum (Addison-Wesley Signature Series (Cohn))

Succeeding with Agile: Software Development Using Scrum (Addison-Wesley Signature Series (Cohn))

 

 Scrumの適応は、以下に説明するようにA・D・A・P・Tの順に進んで行きます。

『A』wareness:気付き
『D』esire:情熱
『A』bility:能力(を身に付ける)
『P』romote:対外に成果を見せる
『T』ransfer:広まって当たり前のコトとなる

 簡単に物語調で説明すると次のような流れになります。

(Agile開発の適応に際して)最初に今のままでは上手くいかない事に気付き、その問題を解決なければならないと情熱を持ちます。解決方法としてAgile手法を学び、実践してその効果を発表します。効果を聞いた人はそれぞれの現場で試し、いつしかその対応が当たり前の事となって自然に行われるようになる。

 説明をまとめた資料はScrum Gathering Tokyo2013で発表したSucceeding with Agileの読書会である品川アジャイル紹介LTを見てください。

・今現在、自分が現場で何をしているか

さて、本題です。

私がいる現場は泣く子も黙るSIerの現場です。周りからはオワコンと称されていますが、その中で私は課題に立ち向かいつつ、一つ一つを対応していっています。
Waterfallな現場でキャリアをスタートし、今ではAgileに開発を進めていますが変わらない事があります。

それは対話です。

なぜ対話が必要なのか。そもそもシステムの構築を生業とするのであれば、システム屋が勝手に作成して、その結果を売り付ければいいはずです。

でも、現場では対話を通して問題を明らかにしつつ合意しながら進めています。

なぜでしょうか。

不確定時代だからと言うのもありますが、人との対話を通してお互いを「理解して、理解される」事が重要で、人との「そうか、こうしたかったんだよ!」という気付きから得られる情熱を生み出す事で、より良いシステムを作りたいと思っているからです。私が現場で実現したい事はまさにそれです。

- そこでADAPTモデルを考える

人との対話を通した気付きや発見も、Scrumの適応だけでなく、実は変化の流れADAPTモデルを適応できると思っています。

例えば、私自身、アジャイル開発にハマった理由もADAPTモデルで説明が出来ます。

Waterfallな開発案件を実践していた私は「どうしてWaterfallで上手くいかないのか」を常に疑問に思っていました。しかし一方で最高に上手くいったチームもありました。違いはなんでしょう?
そこで出会ったのがアジャイル開発でした。アジャイルでは上手くいったチームで良く現れたコトが言葉として表されている事に気が付きました。そして、この方法なら最高の開発が出来るし、お客様も満足するのではないか!?とアジャイルの道を極める事を決心しました。

つまり、「自分が現場で何をしているのか」「何のためか」「何をするつもりなのか」というAdvent Calendarのお題を考えると『現場』とは、

 自分(や他の人)が良くしたいと思って情熱を傾けている場所である

と言えると思います。
本当にどうでも良ければ間違いに気が付いても「自分に関係ないのならいいや」「あいつら、また言ってら」となるのだと思います。そのような場合、その場に参加していてもそれは『現場』であるのか?と言われれば、そうでないと思っています。

更にADAPTの流れは一つではありません。Promoteした結果、新しいAwarenessを見つける事があります。その時、もっと先の理想の形を見つけられるADAPTの旅が開始されるのです。(現場でのKPTによる改善は旅立ちの第一歩に役立ちます)

こうして物事は繰り返しでなくより良い方向に向かってスパイラルアップしていく訳です。これがカイゼンマインドであり、発揮したい場所こそが『現場』です。 

・自分が想う現場とは何か?

さて、もう一度、『現場』について考えます。現場とは”仕事場”でしょうか?

- "仕事"だけじゃない!

『現場』とは職場である、と捉える人は多いと思いますがそうでしょうか?
DevLove甲子園で本橋さんが『現場』とは次のような事でないかと話されていました。

現場とは価値を出すために注力している環境のこと

私も同意します。『現場とは仕事だけの話ではない』です。

- 『現場』は何処にでもある、そして影響し合っている

私は最初のSIerの時、良くも悪くもサラリーマンでした。金がもらえれば良い程度で勉強も余りせずに現場の諸問題に表面的な解決をしてきました。しかし、子供が生まれてから変わりました。私には家庭と言う『現場』が出来たからです。こなせばいいと仕事をしていた場合と家族を含めた未来を描く場合ではマインドの変化が必要でした。その結果として、仕事のやり方も変わったのでした。

自分自身が関わる現場において周りの人や環境を巻き込みつつ、空間的、時間軸的な”先”に向かって現場は広く続いています。一つの現場は他方の現場に影響し、何一つ、独立した現場なんて存在しません。
とある開発プロジェクトだけで考えても期間の観点において終わりはあるのですが、次に紡いでいくモノがあり、繋げていく事が重要です。
そして、仕事で学んだ事が私生活に、私生活で得た経験が仕事に生かされていくのです!そう、現場と現場は密接に関係しています

ある気付きから情熱を燃やし、自身で経験した結果、他の新しい気付きに繋がっていく、生かされていく。その連鎖の流れはADAPTモデルそのものではないでしょうか?

・次に”紡ぐ”こと

このブログ記事をここまで読んだ皆さんにも行なって欲しい事があります。

1)『現場』を(特に目的を)明確にすること
2)対応する為に真摯に物事にあたること
 (この時、対話が重要で、基本姿勢として「理解して理解される」事を忘れない事)
3)上手くいかない事は新しいAwarenessに気が付けた事。次のADAPTモデルの流れを意識して変化に対応すること

ついでに言うとADAPTを回すのにモデリングを通じた共通認識の形成が有効ですよ、と宣伝しておきますw

slideshare:モデリングもしないでアジャイルとは何事だ

 

さて、次ですが尊敬する友人である森さんです。
私がプレゼンする時、私が心の中で演じているのは森さんです。私は森さんの語り部が好きで、特に熱中している時の手振りが最高です!
きっと良い話が聞けると楽しみにしています。

・本当に最後に。

本日12月17日に我が家に新しい家族が増えました
※と言いたかったのですが、生命の神秘とは不思議で来週に延期に!
 でも、文章を変える対応のテンションがないのでそのままお楽しみ下さいw

まさに新しいADAPTのスタートに立ったわけです。
これから二児の父として仕事や家庭において変化に対応しなければなりません。上手くやれるのか不安はありますが、家族での輝く未来を目指して冒険が始まりました。

そして出産準備に追われる中、「お、俺、ブログ書かないといけないし!」と言う私の要望に「出産準備手伝ってからやれ!」とブログ更新する許可と時間を割いてくれた家族に感謝しています。

これからもいろいろな現場で四苦八苦しながら、現場で全力を尽くしていきたいと思います!